再婚したら養育費はどうなるの?
こんにちは。
【トマトの離婚サポート】トマト行政書士事務所の菊地です。
養育費についてのご相談があると、ほぼ100%聞かれるのが、「再婚」にまつわるものです。
再婚の予定があるわけじゃないと言うのですが…。
夫は、「再婚したら養育費は払えない」と言っています。
夫が再婚したら、養育費を払ってもらえなくなるのでしょうか?
4年前に離婚した元妻から、再婚したという連絡をもらいました。
それじゃ養育費はいらないだろうと思い、支払をとめたら、早く振り込まないと給料を差し押さえると言ってきました。
元妻は再婚したのだから、もう養育費を支払う必要はありませんよね?
再婚と養育費について、今日はご説明します。
再婚のみを理由に養育費の減額・免除は無い
まず最初に、結論から申し上げます。
元夫や元妻が再婚したことだけを理由に、養育費が減額されたり、あるいは免除となることはありません。
よく聞かれることなので3回ぐらい繰り返して書きたいです。
とても簡単に言うと、再婚は、お子さまには関係のない話です。
どちらかの親が再婚してもしなくても、お子さまの状況に変化はありません。
だから、再婚したことだけを理由に、養育費が減額されたり、あるいは免除となることはありません。
それじゃ再婚は全然関係ないのかというと、そうではありません。
再婚とともに、養子縁組したり、あるいは子どもが増えたりすると、話が変わってきます。
それでは、まず、「親権者」だのなんだのということをいちいち書くと分かりにくいので、このページでの設定をしましょう。
- 元妻…親権者。養育費を受け取る側。
- 元夫…養育費を支払う側。
- 子…未成年。まだ働いていない。
先ほども書いたとおり、元妻や元夫の再婚のみで、養育費に影響することはありませんが…
再婚と養育費が全然関係ないかというと、そうでもありません。
そこに、別の要素も絡むことで、養育費に影響が出ることもあり得ます。
元妻が再婚して、新しい夫と子どもが養子縁組する場合
元妻が再婚しました。
新しい夫と子どもが、養子縁組をしました。
この場合、新しい夫と子どもの間には親子と同様の法的な関係が生じます。
…って分かりにくいですよね。
とてもざっくり言うと、「新しい夫が子どもを扶養する義務が生じる」ということです。
再婚だけでは、元妻が新しい夫と結婚しただけで、子どもと新しい夫との間には、法的な関係が無いのです。
でも養子縁組をすれば、話は別。
それじゃ、元夫には養育費を支払う義務がなくなったかというと…そうではありません!!
あくまでも、まず子どもを扶養するべきが、元妻と新しい夫になったというだけ。
もしも、その二人では子どもを扶養するのに足りない(お金が…)となれば、元夫も養育費を支払わなければなりません。
だから、言い換えると、元妻が再婚し、新しい夫が子どもと養子縁組をしたのなら、元夫は養育費の減額・免除を請求できます。
話し合って減額や免除に応じてもらえないのでしたら、調停や、裁判等を経ることになります。
減額・免除されたとしても、支払う義務が消えるわけじゃない
元妻が再婚した、新しい夫と子どもが養子縁組した。
そこで元夫の養育費支払義務が消えたかというと、そうではありません!!
ここは要注意です。
とても分かりやすいのが…元妻と新しい夫が離婚し、それに伴って新しい夫と子どもが養子縁組を解消した場合。
ほぼ100%のケースで、離婚と同時に、子どもとの養子縁組を解消なさいます。
この場合元夫は、養育費の支払義務が再び発生することになります。
または、新しい夫がお亡くなりになったり、病気になるなどして経済状況が悪化した場合。
何かの事情変更が発生した場合、などなど…。
支払ってもらえないのでしたら、調停や裁判…となります。
養子縁組が無ければ、再婚だけでは関係性に変わりは無い
なお念のため補足しますが、何回も繰り返しになりますけれども、再婚したことだけを理由に、養育費が減額されたり、あるいは免除となることはありません。
元妻と新しい夫が再婚した。
子どもとの間に、養子縁組しなかった。
この場合、新しい夫に、子どもの扶養義務はありません。
新しい夫は、元妻と再婚したというだけで、子どもとは(少なくとも法的には)関係ないのです。
引き続き元夫が、養育費を支払う必要があります。
元夫が再婚する場合
それでは、支払う側が再婚する場合はどうでしょうか。
元夫が再婚しました。
新しい妻には連れ子があり、その全員と養子縁組しました。
元夫には扶養するべき家族が大勢になり、生活費を圧迫しています。
あるいは…元夫が再婚しました。
新しい妻との間に、子どもが生まれました。扶養すべき家族が大勢になりました。
この状態で、養育費を減免請求できるかというと…できます。
できることはできます。
元夫の再婚と、扶養するべき家族が増えて生活費を圧迫していることは、養育費を変更するべき事情の変更に当たります。
話し合いが難航する場合は、調停や裁判等となります。
ポイントは扶養すべき家族が増えて生活費を圧迫していること
それでは、「元夫が再婚した」ら減額請求となるかというと、そうではありません。
ここでの減額請求ポイントは、再婚に加えて扶養家族が増えたこと・生活費を圧迫していることです。
例えば…
元夫が再婚した。
新しい妻はとても収入が多く、生活が豊かになった。
この場合、減額請求につながりません。
生活が苦しいから、減額できるのです。
勝手に減額しないように!
最後に…
元夫が再婚したと思ったら、養育費を支払ってもらえなくなりました。
電話をして確認したところ、再婚したのだから家族も増えたし、養育費なんて払えないといわれ、その後は電話しても着信拒否されています。どうすればいいでしょうか。公正証書は役に立たないのでしょうか。再婚したら払わなくてもいいのですか?
こんなご相談もたまにいただきます。
私の答えは、
- 差し押さえの手続きを自分でやる
- もしくは、弁護士に相談する
この2択から、選んでいただきます。
たとえ事情があったとしても、勝手に養育費の支払をやめないほうがいいです。
きちんと同意をとりつけましょう。
同意してもらえないのなら、調停や裁判等をしましょう。
あなたの勤め先に、ある日突然、裁判所から、給料を差し押さえるという連絡が入ったら、どうなるでしょうか。