離婚にまつわる「証拠」の噂。録音があれば大丈夫?
こんにちは。
新潟市の<トマトの離婚サポート>トマト行政書士事務所の菊地です。
このところ、ようやく「日記だけでは証拠としては弱い」ということが認識されてきたようです。
さて、この頃増えてきたなと感じるのが、録音。
ICレコーダーを持ってこられて、
「証拠があります!証言を録音しました!!」
というお客様が増えました。
高性能なICレコーダーが手軽な価格で購入可能なことや、スマホ等を使っても録音できることから、
「不貞行為の証拠には録音!!」
とお考えになる方が多くなったようです。
さて今日は、「録音さえしていれば大丈夫なのか」ということについて、お話したいと思います。
まず、不貞の証拠とは?DVの証拠とは??
ここに書くことは、以前の記事にも書いたことなので、面倒な方は読み飛ばしてください。
まず、大前提。
当事務所は行政書士事務所です。
業務として、お客様からご依頼いただいて、訴訟や裁判に関わるのは、これは完全に弁護士の仕事です。
だから、行政書士事務所で
「これ、裁判になったときに証拠になりますか?」
というご相談をいただいても、正確には弁護士事務所でご相談ください、となりますし、実際に弁護士をご紹介します。
もしくは、お客様が知っている弁護士さんがおられるなら、そちらへ行っていただきます。
以下、その前提のもとで読んでくださいね。
不貞行為とは、夫婦の貞操義務に違反する行為です。
配偶者以外の相手との性的関係です。
不貞行為の証拠というのは、自分の配偶者と、誰か他の人との間で性的な関係があるという証拠になります。
DVとは、家庭内での暴力行為全般です。
一般的には、配偶者からの暴力行為です。
いわゆる身体的・物理的な暴力行為はもちろん、精神的、経済的、等々様々な暴力行為がこれに含まれます。
だから、暴力行為の証拠というのは、自分が暴力を受けたという証拠です。
録音だけで、不貞や暴力行為の証拠になるのか?
「しっかり、不倫を認めた声を録音しました!!これ、証拠になりますよね!?」
といって、持ってこられるお客様がたまにおられます。
証拠になるかならないかを判断するのは、結局は裁判官です。
ですので、うちでご相談なさるのではなくて、弁護士さんにご相談なさるのが正解です。
そのうえで、私個人の意見を申し上げると、
録音内容による。
当たり前ですが、これに尽きます。
例えば。
口頭のやりとりでは、「言った・言わない」の争いが生じがちですが、録音がある場合は、「そういうつもりで言った・言わない」の争いが生じます。
文字に起こすと
妻「××さんと不倫したことを認めるわけ!?」
夫「あぁ」
妻「離婚よ!!」
夫「しょうがない」
妻「慰謝料はらってよね!」
夫「そうだね…」
…というやりとりの場合。
夫がどういうつもりで「あぁ」「そうだね」と言ったのか、承諾したのか、単なる相槌なのかどうなのか、分かりにくいですよね。
これが、録音だけが証拠の場合に難しくなる理由です。
口頭のやりとりは、意外と「どうにでも解釈できる」ケースが多いのです。
はっきりと「××さんとの不貞行為の慰謝料として100万円払う」と言ってもらうのが、まず、大事です。
じゃぁそれで100%大丈夫かというと、そうでもないのが、難しいところですが。
- 本当にその人が言ったことなの?録音は顔がうつらないので…。
- 「その場の圧力で言ったけれど、やっぱり後から発言内容を撤回する!」と言い出す
撤回が認められるかどうかは、撤回理由によりますが…。
このような具合に、録音だけでは揉めがちです。
いろいろな証拠をできるだけたくさんそろえよう、専門家に相談しよう
結局、どんなに良さそうな証拠であっても、1つだけでは心配。
なるべくたくさん、いろいろな種類の証拠を集めましょう。
どれが有効になるかなんて、分からないです。
そして、結論を出す前に、早めに専門家に相談しましょう。
変な言い方ですが、離婚は一生モノ。
取り返しがつかないです。
特に、揉め事があった上での離婚の場合、しっかりとした専門家に相談をして、早めに準備をしましょう。