年賀状について考えたこと
最近、年賀状を出していますか?
日頃から手紙派だからということもありますが
私は、毎年けっこうしっかり年賀状を出しています。
「事務所を経営しているのだから、年賀状を出すなんて当然じゃないか」
とお思いになる方がおられるかと思いますが、それだけではありません。
私は仕事上はITを愛しWEBをこき使っておりますけれども、私生活はSnail mail派です。
日頃の友人とのやりとりにもっぱら手紙を使うという、希少動物(絶滅危惧種)です。
日頃、よろしいコットンペーパーの封筒と便箋を揃えて、万年筆で手紙をしたためます。
たまに珍しい紙を文房具屋さんで見かけると、万年筆のインクに耐えられる紙質かどうか吟味してから、少しだけ買い、そちらに手紙を書くこともあります。
ちょこっとした通信であれば、はがき。
あのひらりとした軽やかさが好きです。
この頃は記念切手が多いので、大好きな絵本の絵や、美しい色を使った切手など、選んで楽しんでいます。
切手を貼ってポストへ入れたら、明日か明後日ぐらいに届きます。手紙を受け取ったところで、すぐにその場でお返事の相手をしなければならないことはありません。
すっとぼけて、書きたくない返信を書かずにぼかし、他のことなど書いて送るもよし。
これが、電話やSNSのメッセンジャーとの大きな違いです。
私からの手紙を受け取った相手も、自分のペースでそのうち返事をよこすでしょう。
夜中だろうが早朝だろうが、いつでも好きなときにお返事できます。
相手の手元に届くまでに、そんなに時間がかかるわけでもないので、待ち合わせなどでの「緊急事態」を除いては、手紙でやりとり。
まぁ、私も変人ですが、私の友人たちも大概変人なので、こうして郵便でやりとりしても自由にマイペースにできるし、だいたい手紙なんて明日届くから不便は無くて、大変気に入っています。
多少なりとも仕事が絡んでいるならいざ知らず、いい年の大人が純粋に友人とやりとりするのに、SNSって頻繁過ぎてちょっとねぇ…というのが個人的見解。
年代的に、仕事だのあれやこれやと忙しいお年頃ですから、友人たちとは年に1~2回も会ってランチかカフェへ行ければ御の字。
であれば、手紙で十分なのです。
それでも年賀状が好きな理由
2019年の年末は、TVで「年賀状卒業」特集があったという話を聞きました。
私の周りでもちらほら、今回を最後に年賀状を卒業する人がおられるようです。個人だからではなくて、事業所でも年賀状を廃止したところがあると聞きます。
私は、年賀状が好きです!…と、胸を張って言えるほどのものではありません。
例年、12月中旬ぐらいは「うわ、まだ年賀状作ってないぞ!」と焦り、「バルス」の代わりに「年賀状」とつぶやいて、自分でダメージを受けたりしています。
言い訳をさせてもらうと、年賀状を書く時期というのは、非常にタイミングが悪いのです。
第一に、忙しい。
12月は「師走」と言いますが、私も走り回る季節です。私の場合、11月ぐらいから師走のにおいが漂ってきます。
日によっては呼吸するのを忘れるレベルで、分刻みで各種の予定をこなしていきます。
第二に、気分が「ガンガンイケイケ」になっています。
書き物をするのに、気分の上下が重要なのは、私だけでしょうか。
多忙過ぎてガンガンイケイケな気分のときは、なんだか落ち着いて書く気分になれず、といって鬱々に落ち込めばいいというものではなくて、平常の平均値よりもやや鬱寄りぐらいのときに、ちょうどよく筆が進みます。
あれ?私だけ?
とまぁともかく、忙しすぎて ガンガンイケイケな季節ですから、なかなか、年賀状を書く気分まで落ちてくるのに時間がかかってしまいます。
ともすると、ガンガンな気分のまま、「あぁーめんどくさーい!」と思ってしまうこともあります。
それでも、年賀状が、好きです。
いや、好きというより、大切だと思っているし、ともすると「とても便利」と思っているというか。
年賀状って、「出さなければならない」という義務感のようなものがほんのり漂っているおかげで、疎遠な相手に突然送っても、大げさにならずに済むというメリットがあります。
日頃感謝しているけれどもやや疎遠な人に、特別に「ありがとう!!」などといった日には、深読みされそうではありませんか?
別にメッセンジャーでも何でもいいけど、突然前触れなくそんなものが来た日には、警戒するとか…警戒までいかなくても、驚きますよね。
偶然出くわした旧友に、1か月後ぐらいにふと思い立って突然電話して
「ごはん食べに行きましょう!」
だと、突然すぎて腰が引けると思うのです。
出くわしたその場でごはんに誘えばよかったけれども、そのときはびっくりと懐かしさで、そこまで頭が回らなかったとき。
これが年賀状だと、
「先日はどうも、偶然お会いできてうれしかったです。ところで気が向いたらランチでもどうですか?」
なんて書けば、自然です。
なかなか、即座に必要なことを言えるとは限らないですし、といってちょっとしたことは改めてお礼を言えば大げさです。
年賀状という、何かを伝えるイベントは、こうしたことにちょうどいいと思うのです。
私が年賀状を作る手順は、どなたも大差ないと思いますが、まずは行政書士事件簿をざっと眺め、名刺の類を眺め、スケジュールカレンダーを読んで、1年の案件と出来事をすべて振り返ります。
次に年賀状の宛先名簿を整えます。
この段階で、あれこれ、ご挨拶差し上げたい人のことを考えています。
それから、宛名を全部印刷してしまって、必要に応じて一言書き添えたりしております。
年賀状作成することで、人間関係のささやかな気持ちやちょっとした感謝を、さりげなく伝えていくという。
年賀状は除夜の鐘じゃないけれど、「煩悩というほどでもない雑念」をぱぱっと解消するものなのです、私の場合。
もちろん、全部の年賀状ではないのですが、何枚かは「年賀状は出さなきゃいけないものだから」にかこつけて、気持ちを伝えております。
なお当事務所の場合、私が年賀状で楽しんでいるのが伝わっているようで、ふつうの個人のお客様も、年賀状をくださる方が多いです。
皆様、ありがとう。うれしいです。