【コラム】お礼状はすぐに書く。きっと、手書きは伝わる
事務所には、ちょっとよろしいコットンペーパーの便箋を常備してあって、いただきものをしたときなど、お礼状を書くのに使っています。
電話もE-mailも、FAXもありますが、お礼状はやはり手書きで手紙だろう、と。
いただきものは、効率の外側
私生活ではときどき、手紙を書きます。
元々手紙は好きですが、勉強・仕事・家事・育児とやるべきことがたくさんあって、私の時間は睡眠時間確保で精一杯。だから最近は、そう頻繁に手紙を書くことはありません。
尤も、私の友人たちも、同じような理由で手紙を書く時間の確保が難しい人が多くて、お互いにちょうどいいのでしょう。
仕事では専ら、電話・E-mail・Messenger・LINEです。
たまにビデオ会議。
行政書士の仕事は正確さと速度が求められますので、どうしても効率重視になります。
これはもう、しょうがない。
そこに手紙が入る余地はありません。
ただ…仕事上で、いただきものをすることがたまにあります。
これは例外です。
仕事だけど、効率を重視しない部分。
効率だけを考えるなら、贈答品なんて不要なのです。
贈答品って、効率とか合理性とは対極にあるような存在です。
お菓子を、包装紙にくるんで、さらにきれいに包んで……とか。
佃煮を、美しい器に入れ、麗しい箱につめて……とか。
効率を考えるのでしたら、感謝の気持ちを伝えるには、「感謝しています」ってLINEか何かで送るのが一番手っ取り早いでしょうね。
それで伝わるとは限らないですが。
贈答品で「いただく」べき部分は、いただきものそのものを気に入るか否かではなく。
- 相手は、それを選ぶのに、わざわざ時間を割いてくれた
- 私に対して、相手は、どんなイメージを抱いているのだろう
…ということだろうな、と思っています。
お中元やお歳暮なんかも、そうだろうと。
「あなたに対してこういう印象があるから、こんなものを選びました」
というメッセージをくみとるのが、贈答品なのかな、と。
書きたいことと伝えたいことが一致するとは限らない
そういう文字にならないメッセージを受け取るためのものですから、それに対するお礼はE-mailや電話ではなくて、相手を考えながらよろしい便箋を準備して、万年筆の調子を整えてから、一文字ずつ丁寧にしたためたいと思うのです。
ただ書いてある「文字情報」だけではなく、紙の手触り、インクの色や濃淡、文字の大きさなどからも、伝わるものがあればいいなと。
言いたいことと伝えたいことが、同じとは限りません。
だいたい現代は、文字・画像の「情報」に頼りすぎですね。
最後に、先日いただいたお菓子の話など
そういえば、先日、大きな台風が来た日に、とある士業の先生が手土産持参でうちの事務所にいらっしゃったのです。
関西では大きな被害があった、あの台風の日。
その先生は、さりげなく、とある有名なお菓子屋さんの詰め合わせを持ってきてくださいました。
ごく普通の、クッキーとチョコレートの詰め合わせです。
ただ、私がすごく感じ入ったのは、そこのお菓子はおいしいということも勿論ですが、何より、デパートまで行かなければ買えないものだということです。
すごくお忙しい先生なのに、わざわざ時間を割いて手間をかけて買いに行っていただいたかと思うと、とても恐縮しました。
私はなかなかそこまで、心遣いができなくて、いつもその先生にお会いするとすごいなぁと感心します。
本当に丁寧。
私の場合、気遣い以前に、頭が働かない。
思い至らない。
どういうふうにすれば、あんなふうになれるのでしょうねぇ。