法的に有効って何?離婚協議書に書いても意味が無いの?

こんにちは。
新潟市の<トマトの離婚サポート>トマト行政書士事務所の菊地です。

リーガルチェックのご依頼が続いています。
ありがとうございます。
多いのが、「法的に有効でしょうか」という確認です。
「自分でインターネットの雛形を参考にして作った文章だけど心配」
というものが多いですが、
「弁護士に依頼した文章だけど心配」
「○○士に依頼した文章だけど心配」
という方もいらっしゃいます。
残念ながら、法的に有効ではない文章が多いです。

今日は「法的に有効」かどうかって、どういうふうに考えるのかな?ということをご説明します。

どうして○○士に頼んでも法的に有効ではない文章になるの?

「弁護士に依頼した文章だけど心配」
「○○士に依頼した文章だけど心配」
…で、作ってもらった文章。
どうして法的に有効ではないケースがあるかというと、離婚公正証書や離婚協議書って、別に法的に有効なことだけを書くとは限らないのです。

先生によっては、依頼者の言うとおりに文章を作り、それが絶対に法的に無効な内容でなければ掲載するという方もいらっしゃいます。
そのときに、「これは法的に有効とはいえないですよ」って説明があるかどうかは、微妙です。
その先生しだい。

だから、法的に有効ではないものが書かれていたからといって、その○○士の先生が無能なわけでもないのです。

その事務所のスタンスは本当に様々です。
私は、依頼者の要望の意味を考えて、法的に有効になるように文章を作ります。
でも、ひたすら依頼者の言うとおりに書くだけという先生もいます。
そこはスタンス・価値観の違いです。
どちらが正解というわけでもないのです。

フィクション実例:こんな事例がありました

しばらく前にいただいた、リーガルチェックのケースを、ぼかして混ぜて書かせていただきますと、こんな文章を拝見したことがあります。
タイトルは「念書」でした。

  • また不倫したら謝罪すること
  • 不倫が再度あって離婚にいたった場合は妻の希望どおりの条件で離婚すること

そして日付と、夫の署名捺印。

それでは、実際に「謝罪を強制する」ことができるでしょうか。
あるいは、再度不倫があって、離婚を求めたときに、夫側が妻の希望どおりに条件を飲まなかったとします。
裁判で、妻がこの念書を根拠に、自分の要求を通すことができるでしょうか。

謝罪することは法的に強要できない

「謝罪すること」に関する法律って、無いのです。
(いや、名誉毀損に関して謝罪広告を掲載するという条文はありますから、謝罪に関する法律が皆無というわけでもないですが。少なくとも謝罪するという行為に関する法律はありません。)

慰謝料を請求するなど、お金を請求することは法的にもしっかり認められています。
しかし、謝罪をもとめる根拠は、法律には無いのです。

念書や契約書、離婚公正証書、離婚協議書等々は、書面にすることによって、法的な根拠を求めています。
そのようなわけで、念書に「謝罪すること」と書いたとしても、それが法的に有効かというと、意味が無いとしか言えません。

法的に有効ってどういうこと?

それじゃ、書いて意味が無いかというと、そうでもなくて。
そのときにどういう内容でお互いに合意したか、その確認のためというのであれば、十分に意味があります。
「法的に有効ではない」というのは、「それを書いてはいけない」という意味でも、「買いても意味が無い」という意味でもありません。
「法的に有効ではない」というのは、それを書いても「法的に強要できない」ということなのです。

念書に「また不倫したら謝罪すること」って書きました。
そこに日付書いて署名して捺印しました。
その後、また不倫してしまいました。

…となったときに。

念書を確認して、「念書に書いた約束なんだから謝罪します」というのであれば、何も問題ありません。

「念書に書いたけど、謝罪はしない!だって不倫したのはお前にも原因がある!!」
と言い出して、それでも謝罪を強要できるかというと、それは、法的には有効じゃないから、謝罪を強要できません。

法的に有効って、こういうことなんです。

法的に有効な契約書のよくある例

法的に有効な契約書の例で、よくある(きっと皆さん見たことがある)例としては、売買契約書があります。

「○日までにお金を支払います」「○日までに商品を納品します」
と書いて、双方署名捺印。

さて後日、契約書を確認して、契約書どおりにことが進めば問題ないのですが、
「契約書に署名したけど、お金支払わない!だって商品やっぱり気に入らないなと思ったから!!気に入る商品を準備できないお前が悪い!!」
と言い出した場合にどうなるかというと、これは、この契約書は法的に有効なので、支払を強要できます。

これが法的に有効な例です。

妻の希望どおりの条件で離婚すること?

…と考えていくと、「妻の希望どおりの条件で離婚すること」は法的に有効だと思いますか?
どうですか??

これは、法的に有効とはいえない文章ですね。

そもそも「離婚すること」という身分に関する行為を強要するというのが、無理な話です。

…とまぁ、そんなわけで、法的に有効って、いろいろな法律の知識が必要です。
なかなか簡単な話ではありません。
お客様のご要望を、なるべく法的に有効な文書におとしこむのが、私の仕事です。

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