離婚問題を解決するのは、法律でも、無料相談でも、親・友人でもない。

離婚問題は、ある日突然、降ってくるものかもしれません。

実際、この仕事をしていると、本当にいろいろなケースがあります。
「なんとなく、徐々に徐々に、お互いに距離ができていき、ついに溝が埋まらなくなってしまった」
というケース。
これは、時間をかけてじわりじわりと、生活の中で離婚が現実味を帯びていったことでしょう。

「ある日突然、離婚を切り出された」
というケースや、
「家に帰ったら、家の中から、配偶者が他人を家に連れ込んで行為している声が聞こえてきた」
などという衝撃的なケースもあります。
これらは、それまで全然、離婚なんて考えていなかったというご相談です。

離婚問題は、夫婦の数だけ種類がある…というより、夫婦である人の数だけ種類があるのでしょう。
夫側なのか、妻側なのかによっても、見方が違ってきます。

誰かが解決してくれることは無い…調停や裁判への期待と勘違い

離婚問題が突然降ってくると、どうしていいか分からず、誰かに助けを求めたくなる人も多いと思います。

実際、離婚問題は、当事者にとって深刻な事態であることが多いです。
これが突然降ってきたとなれば、なおさらです。
どうしていいか分からなくなります。

さて、そうしたときに、どこへ相談しますか?

今や、結婚している夫婦3組に1組が離婚する時代です。
私は行政書士ですけれども、弁護士や行政書士で「離婚専門」「離婚相談」をうたう方が本当に増えましたし、○○相談士とか、○○カウンセラー、○○相談室といったものも本当に多いです。
どこで相談すれば、解決しそうでしょうか。

まず………よくある勘違いや、よくある願望として、
「裁判で解決」
「調停で解決」
についてです。

裁判・審判となりますと、通常は弁護士がついて、争うこととなりますが、基本的には法律に忠実な結果となります。
法律は、決して善人の味方ではありません。
だから、善人に肩入れして、かわいそうだから慰謝料をたくさん支払うよう命じてくれることもありません。
だいたい、慰謝料を支払うのは、国でもなんでもありません。
「慰謝料1千万円!!」
と訴えたとして、あなたの配偶者は、それを支払うことができるでしょうか。

通常、慰謝料を支払うのは配偶者のみです。
配偶者の親がお金持ちだとしても、離婚については関係がありません。

裁判・審判であればそれでも、裁判官が出てきて「解決」してくれます。
一応の結論が出ます。
それじゃ調停はと言いますと、基本的に調停は当事者同士の話し合いの場ですから、調停委員が「こうしなさい!」と決めてくれることはありません。

それどころか、調停委員が「こういうケースなら、養育費は○○円ぐらいがいいんじゃないですかね」とか、「慰謝料の相場は、こういう場合は××円ですよ」なんていうことも、ありません。
あり得ません。

慰謝料に相場は無い

離婚で揉めるのは、主に、金銭的なことと感情面が強く結びつくからです。
(相続なんかと同じだなぁ、とよく思います。)

「気持ちの問題と感情の問題が一緒になっている」「愛情とお金を同じだと思っている」
なんていうと、一見、愚かなことに見えてしまうかもしれませんが…
でも、あまりに酷いことをされたら、せめてたくさん慰謝料を取ってやりたい!
少しでも不幸にしてやりたい!!
この気持ちを分からせてやりたい!!
……と、思うのも、人情だと思いませんか。

だから、慰謝料をたくさん請求したくなる。
そして、「慰謝料の相場」が気になる。
これが相場だと示すことで、一応の、慰謝料請求の根拠にして、相手に強く出たいんですね。

気持ちは、分かります。
でも、残念ですけど、慰謝料に相場はありません。

だいたい。

協議離婚が約9割。
残りの1割のうち、8割が調停離婚で、2割が裁判・審判での離婚。

つまり、裁判・審判での離婚って、全体から見ると2%程度でしかないわけで…
裁判・審判での離婚については、第三者が介入するので、慰謝料額が分かります。
でも、大半の協議離婚では、本人同士が話し合いで決めるわけなので、慰謝料は分かりません。

法律って、離婚という「家の中のこと」に対しては、決して役に立つとはいえません。
法律は……なんていうか、離婚と法律を考えたとき、法律って「どうしてもうまく行かないときの方向性を決めるもの」「整理整頓ツール」ぐらいに思ったほうがいいと思うんです。

あ、離婚問題は離婚問題でも、DVだのストーカーだの、犯罪行為にまつわるものは別です。
あれは犯罪です。
完全に法律違反です。
「夫婦のことは夫婦で」とか、言ってる場合ではありません。
警察へ行き、真剣に対策してもらうべき問題です。

親兄弟、友人?第三者が交渉するとなると…

親や兄弟、友人に離婚を相談する方。
よくいらっしゃいます。
そして、その相談した相手が、
「かわいそうだから、私から言ってあげる!!」
と、配偶者に交渉してしまう。
これもよくあります。

結果…ますます面倒なことになります。

「なんで、夫婦のことに、親が出てくるんだ」
「どうしてあなたが意見を言うのか。うちのことに関係ないだろう」
「直接夫婦で話し合いたい」

…と。そういうことになります。

日本人は、勧善懲悪が大好きで、水戸黄門(最近の方はご存じないかしら)みたいなスーパーヒーローが介入して、あれこれアドバイスし、めでたしめでたしとなるわけですが、あれはドラマ。
実際、そんな話は滅多にありません。
滅多に無いけど、すっきりするから、ドラマになるんです。
実際の現実世界は、理不尽なことばかり。

インターネットの情報は、この手の勧善懲悪ストーリーが多いように思います。
インターネットの情報を入手した上でご相談に来られる方が、けっこう、この手のストーリーに毒されています。
勧善懲悪は、すっきりするので、アクセス数が稼げます。
だからインターネットの情報はこの手のものが多いのかもしれません。
でも現実にそうなるかというと、疑問です。

弁護士は?法律は?無料相談は?

とはいえ。法律が全然役立たずということでもありません。
何せ、日本の法律に従って、結婚という日本の制度を使っているわけですから。
法律のことを全く知らずに、離婚について相手と話し合いをしたら、相手の思うツボです。

法律の専門家、それも、しっかりと知識のある良い専門家に相談をしたほうがいいでしょう。

そのとき、できれば、無料相談は避けたほうがいいかなと思います。
(法テラスの制度を利用して弁護士に相談するケースなど、一部を除いて。)
私自身の離婚のときを振り返ってみても…
(当時は行政書士じゃなくて関東に住んでいたのです)
無料の弁護士相談があって、相談してみたら、
「このケースだと慰謝料50万円ぐらいですね!」
と聞いてもいないのに慰謝料額を突然言われて、びっくりしたことがあります。
別に、夫婦の収入を言ったわけでもないのに、結婚期間と子どもの人数と離婚原因を伝えただけで金額を言われて、すごく驚きました。
さらに、「この程度の理由じゃ、離婚を拒否されたらおしまいですよ!最初から弁護士つけたほうがいいですよ!!」と。

今にして思うと…
あの弁護士さんは、何かすごく焦っていたのかなと思います。
あまり経験も知識も、無かったのかもしれませんね。
金額を提示すれば依頼につながり、お金がもうけられると思ったのか???

とにかく、根拠のあるしっかりとした知識を提示してくれる人に相談をすること。
ただし、法律は解決してくれるとは限らないのだから、過度な期待はしないこと。
…が、大切だろうと思います。

結局は「自分」です

理不尽な離婚だろうと、なんだろうと。
結局、結果を掴み取るのは、自分です。

しっかりとした知識を使って、相手をぎゃふんといわせるのも。
適切な専門家を見つけるのも。
自分です。

法律も、日本の国も、解決してくれません。

私が、最初に出会った弁護士さんに相談をして、がっかりしていたら、きっと当時、離婚はつかめなかったと思うんですね。
あの後も、「こんな結果なわけがない」と、いろんな専門家に諦めず相談したから、離婚することができました。

離婚問題って、行動する気力がうせたりしますが、とにかく諦めずにしっかりした専門家を探すこと。
自分がどうしたいかを、見極めること。
しっかりと、一歩ずつ前に進んでください。

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