貨物自動車(トラック・バンなど)を使用して、荷主の依頼で荷物を運び、運賃を受取る事業のことを、一般貨物自動車運送事業と言います。
緑ナンバー(営業ナンバー)をつけて荷物を運ぶ事業です。
※軽自動車の場合は、貨物軽自動車運送事業といいます。こちらは黒いナンバーです。
一般には、単に「運送業」とか、「トラック運送業」なんていう呼び方をされます。

この事業を始めるには、手続きを経て、国土交通大臣の許可を受けなければなりません。
また、許可をもらったらおしまいではなくて、許可証を交付された後も、お手続きが必要です。

一般貨物自動車運送事業の許可を受けるには?

一般貨物自動車運送事業の許可は、ハードルが高めです。

「昔お世話になった運送会社の社長から、簡単にとれるという話を聞いた。」
「え、簡単に取れるんじゃないの?」
…というお客様が、意外と大勢いらっしゃいます。
実は、一般貨物自動車運送事業は、法改正のたびに、条件が厳しくなっていっています。
なので、昔許可を取った方の言うことは、あまりアテになりません。

更に言うと、ホームページに掲載されている情報も、よく見ると間違っているものが多いです。
法改正前にホームページを作り、そのまま更新していないというわけです。
投稿式の情報サイトは特に、「間違った知識」「地元の常識」「法改正前の制度」が入り混じっていますので、注意が必要です。

けっこう時間と手間がかかる

一般貨物自動車運送事業は、「許可を取ったら営業開始!」ではありません。
許可をとった後も、いろいろな手続きが必要です。
時間がかかります。

申請がスムーズに進んだとしても、営業開始まで、だいたい6ヶ月程度のケースが多いのではないかと思います。
これは、申請準備に時間がかかるだけでなく、「法令試験」を合格しないと許可が出ないことや、役所側の審査期間などもあるためです。

当事務所の最短記録は、業務着手から営業開始まで4ヶ月。
ただし、これは申請の準備をスピーディーに行ったことは勿論ですが、役所側の審査期間が短かったことや、法令試験を1回でクリアしたこと、自動車販売会社がスピーディーに緑ナンバーへの手続きをしてくれたことなどの条件が重なった結果です。
※なお、今は役所側の審査期間が法改正で長くなりましたので、この期間で許可が出ることは無いと思われます。
逆に、運が悪ければ、業務着手から営業開始まで1年ぐらいかかることもあります。
急ごうと思っても、急げる部分が限られているお手続きです。
時間には余裕をもって、お手続きしてください。

一般貨物自動車運送事業、申請準備から営業開始までの簡単な流れ

  1. 許可基準を確認する
    「お金」の条件、「設備」の条件、「人」の条件などがあります。
    インターネットで検索するのに頼らないで、自分で手続きするのであれば運輸支局で、手続きを頼もうと思ったら行政書士へ、早めに相談してみたほうがいいでしょう。
  2. 事業計画の作成と各種書類の収集
  3. 営業所の所在地を管轄する運輸支局へ申請書を提出
  4. 役員法令試験の受験
    奇数月にしか開催されない法令試験。これに合格しないと許可されません。
    不合格だった場合、1回だけ再試験ができますが、試験は奇数月のみ開催なので、それには2ヶ月待たないといけないことになります。
    なお、当事務所は法令試験のサポートもしております(報酬にオリジナル問題料金も含まれています)。
  5. 運輸局での書類審査
    標準処理期間が3~5か月となっています。急いでほしいと言っても急いでもらえないです…。
  6. 一般貨物自動車運送事業の許可交付
    交付式があって、申請者(依頼者)本人が必ず役所に出向いて、職員から説明を受け資料を受け取る必要があります。2~3時間程度かかります。
  7. 運行管理者・整備管理者の選任届
    どちらも常勤。
    ※昔と違って、整備管理者は外部委託できません
  8. 運輸開始前の確認
    「運輸開始前の確認」という書類がありまして、社会保険の手続き等を確認し、届出する必要があります。この確認以降に車両のお手続きをすることになります。
  9. 車両の登録
    緑ナンバーをつけます。
  10. 営業開始!
    営業開始は許可取得から1年以内という制限があります。
  11. 運賃料金設定届出の提出
    運賃料金を設定してから30日以内に届け出なければなりません。
  12. 運輸開始届の提出
    営業開始後速やかに、運輸開始届を出さなければなりません。

標準処理期間って?

5に「標準処理期間」という言葉が出てきました。
標準処理機関とは、「申請がその提出先の機関に到達してからその処分をするまでに通常必要とされる標準的な期間」です。

つまり、何も不備や問題がなければ、そのぐらいの期間で許可・不許可が決まりますよ、という意味です。

「書類を見ても意味が分からない」とか、「書き間違いがある」といった場合、その内容が簡単なものであれば普通は補正を求められます。
この補正にかかる時間は、標準処理期間には含まれていないということが注意ポイント。
ミス無く、誰が見ても分かりやすい書類を作って提出する必要があるというわけです。