こんにちは。
新潟市の<トマトの離婚サポート>トマト行政書士事務所の菊地です。

リーガルチェックに限らず、文章を作成なさったものをお持込になるケースはたくさんあります。
そこでちょっと気になるのが、「本件に関し」という言葉の使い方。

お客様から原稿をお預かりしたときは、気になる点があっても細かく指摘せず、何も言わずにお客様の意向に沿った内容に書き換えて、お渡ししています。
だから、「本件に関し」が気になったとしても指摘しません。
お客様のほうでも、別に「本件に関し」が増えていようが減っていようが、気にならないようです。

でも、意外と「本件に関し」は大切です。

清算条項の例を元に、問題です!

例えば、不倫関係に関する示談書で。
あるいは、離婚に関する契約書(公正証書、協議書)で。
「清算条項」というものに、本件に関し、云々~~と書かれていることが多いかと思います。

ちょっと一例。

覚書 例1

×××(以下、「甲」という)および○○○(以下、「乙」という)は、本日、不倫関係を解消した件(以下「本件」という。)について、以下に示す事項に関して合意する。

第1条 甲は乙に対し、手切れ金として金10万円を支払う。

(中略)

第5条 甲及び乙は、以上をもって全て解決したものとし、今後、名目のいかんを問わず互いに何らの金銭的請求をしない。また、甲及び乙は、本覚書に定めるほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する。

念のために申しておきますが、私が作った覚書じゃないです。
私が作る文章はこんな書き方じゃないなぁ……それはさておき。
例2もあわせてお読みください。

覚書 例2

×××(以下、「甲」という)および○○○(以下、「乙」という)は、本日、不倫関係を解消した件(以下「本件」という。)について、以下に示す事項に関して合意する。

第1条 甲は乙に対し、手切れ金として金10万円を支払う。

(中略)

第5条 甲及び乙は、本件に関し、以上をもって全て解決したものとし、今後、名目のいかんを問わず互いに何らの金銭的請求をしない。また、甲及び乙は、本件に関し、本覚書に定めるほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する。

今回は例示なので、分かりやすくするためにしつこく「本件に関し」と入れています。

さて、問題です。
例1と例2は、意味が違います。
どこが違うでしょう…?

問題1!
甲さんと乙さんとの間では、不倫関係があったほかに、お金の貸し借りがありました。
乙さんは甲さんに100万円を貸しています。
覚書を交わした後も、お金を返してもらいたいときは、例1と例2、どちらの覚書がいいでしょうか?

問題2!!
甲さんも乙さんも、お互いにもう二度と顔を見たくないと思っています。
もう関わるのはこりごりです。
その場合、どちらの覚書を使うといいでしょうか?

問題の答え…本件に関し、で意味がけっこう違います

まずはあっさりと答えを書きます。

問題1の答えは、例2です。
問題2の答えは、例1です。

上の例の、第5条のようなものを「清算条項」と言います。
「この覚書に書いた内容で全部解決したことにしましょう!」という内容です。

ここに、「本件に関し」と書くのは、その覚書を交わす原因になった事柄だけに限定しましょう、という意味が含まれています。

だから、「甲及び乙は、本件に関し、以上をもって全て解決したものとし、今後、名目のいかんを問わず互いに何らの金銭的請求をしない。」というのは、
「この件については、以上で解決しました。この件を理由にして、もうお金の請求をするのはやめましょう」
という意味です。

一方、「甲及び乙は、以上をもって全て解決したものとし、今後、名目のいかんを問わず互いに何らの金銭的請求をしない。」というのは…
「この覚書を交わした時点で甲さんと乙さんの間にあった問題は、ぜーんぶ解決ね!」
ということになります。

だから、問題1のように、乙さんが甲さんにお金を貸しているにも関わらず、「本件に関し」と書かない覚書を交わしてしまうと、「もうぜーんぶ解決ね!!」となるかもしれません。

……ここで、「かもしれません」などというあいまいな言い方になるのは、実際にどうなるかについては、解釈をめぐって争いになることもあるためです。そうなると、裁判等を経ることになります。
でも、ごく普通に考えると、「もうぜーんぶ解決ね!!」と読めます。

んじゃぁ、ここでこんな覚書を交わしたあとで、何かが起きても問題にできないのかというと、そうではありません。
覚書というものはあくまでも、交わした日以前のことが問題になります。
覚書に限らず、示談書、契約書、協議書などなど書類のタイトルは何でもいいのですが、とにかくその日付以前の問題を含みます。
交わした日よりも後で起こったことは、含みません。

「本件に関し」は、小難しい法律用語の定型的な飾り、ではないです

「本件に関し」という言葉を、難しい法律用語の飾りのように思って、よく分からずに使うと大変になるよ、っていうお話でした。

でも、実際のところ、リーガルチェックや、文章の原稿として持ち込まれるものでは、たいがい「本件に関し」ってあまり大した意味がなかったり、誤った使い方をしていたりするケースが多いです。

よく、「雛形を参考にするときに注意したほうがいいことは何ですか?」と相談されることがあるのですが、「本件に関し」に限らず、ちょこっとした言葉の使い方で、意味が違ってしまうことがけっこうあるのです。
だから、ケースバイケースで、一概には言えなくて、なんともアドバイスしがたいです。

まぁ、よく分からなかったらとにかく「本件に関し」って限定しちゃうというのも、一つの方法かなーと思いますが、変にたくさん入れちゃうと、こんどは
「せっかくきれいに清算しようと思ったのに!!」
ということにも、繋がりかねませんし……。

そうそう、清算条項を入れていなくて、後から蒸し返し可能な内容になっている覚書も、リーガルチェックしたことがありますね。

自分の今後に大きくかかわりそうな書類は、プロに依頼したほうがいいと思います。

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