兄が「大した金額じゃない」といっていたから、押印したのに

母が亡くなった。
父は一昨年、既に亡くなっている。

うちは4人兄弟で、私は上から3番目。
1番上の兄が、実家で、長年両親と同居していた。

母が亡くなってからしばらく経ち、1番上の兄から相続についての相談があった。
兄が言うには、
「相続財産なんていっても、家の土地と不動産と、口座に少し金があるぐらいだ。大した金額じゃない。母の介護にずいぶん金を使ったし、長年同居してきたのだから、自宅ぐらい全部相続させてくれないか。遺産分割協議書を送るから、黙って判子をついてほしい」
とのこと。

しばらくすると、全部を1番上の兄が相続するという内容の遺産分割協議書が、○○事務所から送られてきた。

私も他の兄弟も、言われたとおりに黙って判子を押したのだが…

それから1ヶ月ほどして、相続財産が「大した金額」らしいことを知ってしまった。
母が亡くなったあとの後片付けをするために実家へいったら、書類が置いてあったので、つい見てしまったのだ。
母名義の銀行預金、普通預金と定期をあわせて約5,000万円。
某銀行発行の書類で、相続による解約計算書とあった。
銀行1つの預金だけでこんなに!?
そして実家の土地と建物。
一体、母さんの財産は、全部でいくらだったんだ!?

その場で兄に掛け合ったが「済んだ話だ」と取り合ってもらえない。
喧嘩別れになり、あわてて他の兄弟に電話し、3人で憤った。
大した金額じゃないといわれたから判子を押したんだ。
こんなに財産があると分かっていれば、判子なんか押さなかった。
「済んだ話」で済ませる兄は、どうかしている。
悪意を感じる。
最初から、だますつもりだったのだろう。
両親との同居だって、口では負担だったというが、けっこう美味しい思いをしていたんじゃないのか。
財産が全部でいくらあったのかきっちり教えろと言ったが、教えてもらえない。

遺産分割協議のやりなおしって、できるものなのだろうか。

解説「遺産分割のやり直しは難しい」

「遺産分割協議について相談をしたい」ということでお見えの方の中で、「やり直しができるのかを知りたい」という方がたまにいらっしゃいます。
遺産分割協議のやり直しなんて、ありえるのか…今日はご説明したいと思います。

揉めずに普通に遺産分割協議をやりなおしたい、というのはけっこういろいろなハードルがあります。
ここで言う「揉めずに」というのは、言い換えるといわゆる「裁判沙汰にならずに」という意味です。
気持ちの上でお互いに揉めていなかったら、そもそも「やり直し」なんていう事態になりませんよね。

さて。
お互いに揉めないで遺産分割協議をやりなおすとなれば、まず、協議書を新たに作り直すことになります。
相続人全員の合意があれば、可能なわけです。
ただし。
私は税理士じゃないので詳細は省きますが、税務上は最初の遺産分割協議が有効となり、新たな遺産分割協議による財産の移動は別途税金がかかることになります。
主なものは贈与税でしょう。

「贈与税を払いたくない!」という場合や、「お互いに合意なんかできないが、こないだの遺産分割協議は間違っていたんだ!!」となると、これは遺産分割協議の無効を主張することになります。
いわゆる、裁判沙汰になりますね。

  • 遺産分割協議に参加していない相続人がいた
  • あとから相続人が現れた
  • 相続人の誰かが遺産を隠していた

といったときに、遺産分割協議が無効であったこととなります。
無効ともなれば、贈与税はかからないかもしれませんが、せっかく相続登記をした不動産は、登記のやり直しになりますし、手間が倍増以上です。
また、相続税について申告してあった場合は、遺産分割協議が無効だったから自動的に無効になるのではなくて、更正や修正といった手続きが必要となります。

遺産分割協議、無理じゃないけど、どうなんでしょうねぇ…。
以上どうぞ、ご参考までに。

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