勘違いが多い年金分割

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※以下、個人情報を保護する目的と、分かりやすくするために、実際のご相談よりもかなりアッサリと話を展開させております。ご了承ください。

「半分もらえる」ってお思いではないですか?

こんにちは。今日はどういったご相談にお見えですか?

139160離婚を考えておりまして…
子どもも独り立ちしましたし、今まで十分に我慢をしてきましたから、夫の退職金や年金を分割してもらって、ひとりで暮らしたいのです。

なるほど。お独りで暮らすとして、生活費については、どうお考えですか?

139160あら先生、ご存知無いんですか?テレビでよくやっていたでしょう?
年金分割してもらって、あとは退職金も分けてもらいます。夫の年金はそれなりにありましたし、退職金もありますから、あれを半分に分けてもらえれば、なんとか生活していけるはずです。
それから、夫の今までのことを考えれば、慰謝料も頂けるでしょうから…

あらら、ちょっと待ってください。
年金、退職金、慰謝料。
きちんと計算してみましたか…?

勘違いが多い、年金分割のこと

年金分割は、離婚のときに、夫の年金の一部を分割して、妻が受け取れる制度です。
これを、「年金の半分を満額もらえる!」と勘違いしている人が多いようです。

なお、常に夫から妻へ年金の半分が分けられるものではありません。
報酬総額の多い方の年金を分割しますので、妻の報酬額が多い場合は、 妻から夫へ年金分割されるということもありえます。

主に勘違いされがちなポイントは、以下の2点です。

勘違いポイント1:「年金分割の対象は厚生年金のみ」

年金分割の対象は、厚生年金だけです。
つまり、国民年金と基礎年金は対象外です。

勘違いポイント2:「分割対象となる期間は二人が結婚していた期間のみ」

厚生年金が分割される対象期間は、二人が結婚していた期間のみとなります。

よく、「夫の年金の全部を、半分もらえる!」とお思いになっている方がおられます。
でも、分割対象は厚生年金のみで、しかも、結婚していた間のみなのです。
さらに、年金分割は請求期限や、合意が必要な部分もあり、必ずしも分割できるとは限りません。
詳しくはあとでご説明します。

このご相談者さんは、「慰謝料」をもらう予定、「退職金」を半分に分けてもらうというようなことをおっしゃっていました。
でも、実際にどうなるかは、まずはお話合いをしてみないと分かりません。

他に、稀にある勘違いとしては、「夫の年金だけが分割対象」というものが挙げられます。
妻のほうが、報酬が多ければ、妻の年金が分割対象となりますのでご注意を。

年金分割は2種類あります

さて、勘違いを解消したところで、年金分割という制度についての説明です。

年金分割には、2種類あります。
一つが合意分割制度。
もう一つが、3号分割制度です。
なお、今までにご説明したとおり、分割対象はあくまでも厚生年金であり、しかも結婚している期間のもののみです。
この点は、どちらの制度についても変わりません。

合意分割制度

まずは合意分割制度。
これは「合意」とあるとおりで、当事者であるお二人が合意している場合、もしくは裁判によって按分割合が定まった場合にできる分割制度です。

請求期限は、原則として、離婚の翌日から2年。
早めに手続きしなければなりません。

結婚していた期間内に、厚生年金に入っていなければなりません。

つまり…以下の場合に請求できます。

  • 当事者2人が分割に合意、もしくは裁判で按分割合が定まっていること
  • 請求期限内(離婚の翌日から2年以内)
  • 結婚していた期間内に、厚生年金に加入していたこと

3号分割制度

こちらは、平成20年5月1日以降に離婚をして、当事者の一方(たいがいは妻)が、国民年金の第3号被保険者だった場合にできる分割制度です。
この分割制度には、当事者2人の合意は必要ありません。
平成20年4月1日以降の結婚期間中に厚生年金に加入していた場合、その間の年金記録を2分の1ずつ分割するというわけです。
こちらの制度にも、請求期限(離婚の翌日から2年以内)があります。

つまり、以下の場合に請求できます。

  • 平成20年5月1日以降に離婚
  • 平成20年4月1日以降の結婚期間内に厚生年金に加入していたこと
  • 請求期限内(離婚の翌日から2年以内)

言い換えると、平成20年4月以前の結婚期間についての年金分割や、共働きの場合は、年金分割するなら当事者の合意が必要というわけです。

今回は、制度について簡単にご説明しました。実際の手続き等については、また別の記事で。

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